FUJIFILMに乗り換えました

FUJIFILMに乗り換えました


乗り換えの理由は、ラージフォーマットの画が気になって気になって、夜も眠れなくなったからです(笑)
以前からラージフォーマット - 「中判」に密かに憧れてはいたものの、その大きさと重さ、値段の高さに踏ん切りがつかず、半分諦めていました。 そこに「一眼レフと値段もサイズも変わらないミラーレス中判カメラ」と来たら...もう言い訳無用!行くしかない!

ということで、FUJIFILMのミラーレス中判カメラGFX50S IIを手に入れてしまいました。
しかし、いくらコンパクトとは言え、中判は中判。普段使いには流石にいろいろ無理があったので、コンパクトなXシリーズのX-Pro3も合わせて投入することにしたのです。
....まんまとFUJIFILMの思う壺にはまってしまったような気もしますが、細かいことは気にしない気にしない!

※客観的な「レビュー」ではなく、主観だらけの「使ってみての感想」になります。


X-Pro3

満足度:★★☆☆☆

いきなり結論から述べますと、これは買って失敗でした。カメラが悪いというわけではなく、自分には合わなかったです。
コロナによる半導体不足などの影響で、殆どのFUJIFILMカメラは在庫がなく、すぐ手に入る「バリアングルモニターではない」カメラはX-Pro3だけでした。バリアングル反対派の私としては、光軸がぶれないHidden LCDの方がまだマシかも?と思ったのですが...

Hidden LCDはやはり不便すぎる

X-Pro3を使ってから背面モニターの大切さがよーくわかりました。
予めモニターを見ながら大雑把な露出とフォーカス位置を決めておいて、シャッターチャンスにぱっとファインダーを覗いて決める自分の撮影スタイルとは非常に相性が悪い。 見たいときにさっと見れなというのが思った以上にストレスです。いちいち蓋を開けて、設定変えて、また閉じて…を繰り返していると地味にイライラがたまる。

モニターという物がそもそも付いてない変態カメラ Leica M10-D やフィルムカメラも使っていたので、「蓋さえ開ければ」モニターが使えるX-Pro3はそれらより使い勝手がいいだろと思いましたが...そうはいきませんでした。
「アナログ」カメラはモニターこそないですけど、露出計で計ったときの明るさと今の明るさを勘で補正して、レンズの距離指標を見ながら勘でピントを合わせて、レンジファインダーで微調整して...と自分の感覚で全てをコントロールしますし、それに慣れると案外テンポよく撮影出来たりします。しかし、オート前提の「デジタル」カメラでアナログ写真機の真似をしようとすると、レンズには距離指標がないので結局AFに頼るしかないし、露出決めはやっぱり怖いからついつい蓋を開けて確認したくなっちゃうし... そうやっているうちに、パカパカ蓋を開けないといけないことがだんだんアホみたいに思えてくるのです。だって、自分の感覚じゃなくてカメラのAF・AEが決めたものですから、そりゃ不安になるし確認したくなりますもん。

面白いが見え味はいまいちなファインダー

モニターを隠してまで強引にファインダーを進めてくる割に、ファインダーの見え味はいまいちです。 OVFは周辺が歪むしぼやける。EVFは小さいうえに解像度が足りなくてピントの山がはっきり見えない。
正直、このクオリティで「ファインダーでの撮影体験が~」とか言われても...というのが本音です。
そりゃそのはず。EVFとOVFに加えて、OVFの隅っこにフォーカスポイントの画像をEVFで表示するハイブリッドファインダーまで組み込まれていて、レバー一発で切り替わるというギミック満載のファインダーですから相当複雑な構造になっているでしょう。EVFもOVFも最高の見え味にするっていうのは、なかなか難しいことだろうと素人でも推測できます。

個人的にはEVFかOVFのどちらかに割り切った方がいいと思いますが... ただ、OVFで全体の構図を確認しながら隅っこのEVFでピントを追い込むことができるハイブリッドファインダーは、非常に面白くて効率的なMF用ファインダーであることは確かなので、オミットするにはちょっともったいない気もします。

新時代のレンズとはデザインテイストが異なる

コンパクトでくびれのあるビンテージ風デザインの初期レンズに比べ、最近の「新時代」レンズは直線的でモダンなデザインに変わりました。 今のレンズデザインも悪くはないですが、X-Pro3には以前のレンズほど似合わないと思います。なんというか、「カッコいい!サイコー!!」とはならないというか...
X-Pro3を選んだ理由の一つ(というか、最大の理由)は、そのかっこよさだったので、ちょっと残念です。

それより気になるのは、新しいレンズほど大きくなっているのがちょっと心配です。コンパクトさを優先してAPS-Cに移行したので、「高性能にしたら大きくなりました!」は勘弁してほしい。

何はともあれ、カッコいい!

不満ばっかり書きましたが、撮られた結果物にはなんの不満もありません。FUJIFILMのカメラに期待した画そのものです。
なにより、カッコいい!眺めながら酒が吞めちゃう!(笑)

質感も高いし、アナログ感たっぷりのダイヤル操作感もいい。シャッターの音と手に伝わる感触も非常に気持ちよく、わかってる人が作ったというのが伝わります。(ストリートフォトで使うにはちょっとシャッター音が大きいとは思いますが)

こういう尖ったコンセプトの製品は嫌いじゃないし、むしろ(いい意味で)こんなカメラを製品化までやり切った関係者たちに拍手を送りたい。 ただ、普通のバージョン(?)を出したうえで、限定版としてHidden LCDバージョンを出してくれたなら、もっと良かったのではないかと思います。
「Pro」を名乗るカメラだからこそ、メーカーのの独りよがりではなく、しっかりした道具としての「究極のレンジファインダースタイルデジタルカメラ」を目指して欲しい。今のX-Pro3は自分には合わなかったので、乗り換え検討中です。


GFX50S II

満足度:★★★★☆

35mmフルサイズの画質に特に不満があったわけではないですが、ラージフォーマットの画を一度見てしまうと、もうフルサイズでは満足できなくなってしまいました。 目から鱗が落ちる!解像感と立体感に圧倒されます。FUJIFILMの色と画作りはそのままですが、膨大な情報量から来るリアリティーは、APS-CのXシリーズでは感じたことない物です。

振り回しは一眼レフと変わらない

ミラーレス同士で比べるとデカくて重いですが、Canon EOS-5DやNikon D-850などの「フルサイズ一眼レフ」とは同じ感覚で振り回せます。バッグもそのまま使えて、散歩に持ち出しても意外とそれほど負担にはなりません。
グリップは握りやすく、手振れ補正もよく効くので、中判だからと言って気難しいことはなく、普通にパシャパシャ撮れます。

操作に対するレスポンスもストレスを感じることはありません。フォーカスレバーの反応はちょっといまいちですが、このカメラの問題というより、FUJIFILMカメラ全般の問題だと思います。ソニーやキャノン等のそれと比べると微妙にもっさり+微妙に思ったのと違う動きで微妙に気になる(笑)

35mmフルサイズのハイエンドカメラと値段も変わらない - というか、むしろ安い。
レンズは少々高価ですが、写りを見ると納得できる値段です。高いとは言っても、フルサイズの「本気レンズ」とさほど変わらない値段ですから、良心的(戦略的?)な価格設定だと思います。

AFはまだまだ

「FUJIFILM+ラージフォーマット+コントラストAF」と3拍子揃っていますから、最初からAF性能にはあまり期待していませんでしたが、晴天の屋外など光量が十分な環境では、意外と(?)AF任せでもそこまでストレスなく撮影できます。

ただ、あくまで「心配していたよりはマシ」程度で、AFのスピードはお世辞にも早いとは言えないし、精度も怪しい。顔や瞳の認識率もそれほど高くなく、AF-Cのトラッキングなんかは完全におまけレベル。 しかも、薄暗いところではそもそも合点しません。(他社に比べAF性能が優れているとは言えない)X-Pro3が普通に合点するところでも、GFX50S IIは全然ダメな時が多い。

自分は主にポートレートに使っていますので、許容範囲内のAFパフォーマンスですが、間違っても動きのある被写体には使わないと思います。このカメラで動体撮れる人なら、どんなカメラでも撮れちゃうと思う。

画の厚みが違う

ちょっと前までFUJIFILMの画作りは「リアリティー」より「エモさ」がメインだと思っていました。ありのままを写すというより、雰囲気よく記憶のイメージに近い写真を写し出す - 言い方を変えれば、フルサイズより狭いダイナミックレンジと情報量を、画作りの上手さで誤魔化していたとも言えます。
(最近は、APS-Cのセンサーも進化したためか、だいぶリアリティー溢れる画風に代わったようにみえますが)

しかし、35mmフルサイズよりも大きいセンサーサイズのGFXは、Xシリーズのそれとは似て非なる画を見せてくれます。
桁違いの情報量から出てくる解像感と諧調、立体感溢れる画は、「リアリティー」の一言では表現しきれない何かを感じさせる凄いものがあります。諸先輩方が言う「中判の画の厚さ」の意味が分かった気がします。

フルサイズでも撮れない画ではないと思う。しかし...

初めてフルサイズを手に入れたとき、そのボケ量の違いにびっくりしたことを今も覚えていますが、フルサイズとGFXはそれほどボケ量の違いを感じません。
GFXのレンズが比較的暗いというのも原因の一つでしょうが(2023年1月現在、殆どのGFレンズはf/2~2.8 始まり。GFXのボケ量はフルサイズの1.25倍といわれるので、 フルサイズf/1.6~2.25相当)、そもそもボケの量を重視した設計でもないように見えます。より小さいフォーマットのレンズでも、最短距離で撮ると気持ち悪いくらい全てを溶かしてしまうレンズもありますが、GFレンズは形を残しながらなだらかにボケていく。

しかし、それでいいのです。それがいいのです。 ボケに頼らなくても立体感が溢れますから。
同じ5千万画素のフルサイズカメラ(SONY α1)を使っていましたが、立体感がここまで違うのかとびっくりしました。

正直、35mmフルサイズカメラでも、運と腕があればGFXと同じ画が撮れなくはないと思います。
しかし、GFX50S IIに乗り換えてから「自分で撮っといて、おおーっ!となる奇跡の1枚」率がぐんと上がったのは確かです。
心細いAF性能、解像度が足りなくてピント確認し辛いEVF、同期速度が1/125止まりなのでストロボを使うときはNDフィルターが必須...などなど、不満なところも多いですが、出てくる写真には大満足しています。


今回の乗り換えで感じたことの一つは、35mmフルサイズって本当にバランスのいいフォーマットだなーということです。手放してからその良さがじわじわと分かる糟糠の妻みたいなもんというか(笑)
メインストリームとして、各カメラメーカーの激戦区なので、性能の進歩が目まぐるしく、価格競争も激しいので、実は一番コストパフォーマンスがいいフォーマットといっても過言ではないでしょう。
画質、スピード、AF、携帯性、コスト...どれも高いレベルでバランスが取れていて、1台あれば大体なんでもこなせます。正にこれぞオールラウンダー。

ただ、バランスがいいからこそ妥協が必要な部分もありますよね。
APS-C+中判の2台体制でコンパクトさと画質を追い詰めるというテーマの今回の実験は、まだ成功か失敗かが自分にもわかりませんが、久しぶりにワクワク楽しく遊んでいるのは確かです。
さてさて、ただのフルサイズ倦怠期のちょっとしたハプニングとして終わるか、フルサイズ時代より満足度の高い写真ライフの始まりになるのか…結論が見えてきたらまた報告します!

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Photographer based on Nagoya Japan. Born in Korea. Father of two. Husband of a Japanese woman. Street and Portrait photography lover. Software engineer. Simple person :)