写真の楽しさにはまり始まって「そろそろ単焦点レンズを一本買ってみようかなー」と色々調べているそこのあなた!
よくぞここまでいらっしゃいました。微力ながら私もあなたの背中を優しく押して差し上げましょう。
あなたはなにも間違っていません!ズームレンズなんか邪道なんですよー早く正義の単焦点レンズをその手に!!( ー`дー´)キリッ
なぜ単焦点レンズがおすすめなのか
ご存知の通り、単焦点レンズ(以下、単レンズ)はズームレンズとは違って1つの画角(焦点距離)に固定されたレンズのことです。単純に考えても、一つだけを極めた単レンズの方が画質がいいのは当然のことでしょう。
しかし、「そんな高画質が本当に必要なのか」は別の問題。最近は単レンズに勝るとも劣らない性能のズームレンズも多いので、画質を理由に単レンズを選ぶ必要性はそこまで高くないと思います。
単レンズの本当のメリットは、画質だけではなく、コンパクトさと明るさ、そして簡単さにあります。
軽くてコンパクトなので持ち出しやすく、明るい(F値が小さい)のでボケを活かした表現や、暗いところの撮影にも強い。
なによりも、写真を撮ることが非常にシンプルになり、楽しくなります。
画角が固定されているということは、最初から撮れる写真・撮れない写真が決まっている様なものとも言えます。だから逆に「どうやったらカッコイイ写真になるか」に集中できるのです。
単レンズに慣れればなれるほど、「どんな写真になるか」のイメージがより具体的に、より早く浮かびます。なので、どこを調整すればいいか、なにを割り切ればいいのかに迷いが少なくなります。そうやって思い通りの一枚が撮れた時の達成感こそが単レンズの魅力であると思います。
しかも、そこに画質の良さも足されるわけですから、当たったときの満足感と言ったら、もうね、感動そのものなんですよー。その感覚、是非味わってほしいです!
もちろんズームレンズでも単レンズと同じ撮り方はできますが、不思議なことになかなかそうはいかないのです。
自分の位置を変える選択肢に加えて、ズームを変えるという選択肢も増えていますから、その分迷いが増えます。(勘違いしやすいところですが、被写体までの距離を変えるのと、ズームをするのとは、全く違うことです)
寄ってズームアウトするべきか、離れてズームインするべきか、はたまたその逆なのか...結局、そこに止まったまま、ズームリングをぐるぐる回しながら妥協できる構図を探る作業になりがち。
ご自分の写真を振り返ってみてください。ズームの両端(例えば、24-70mmなら24mmと70mm)辺りの写真が多くないですか?それ、ズームに迷ったときの典型的な症状ですからね。私もよくやります😅
まとめ:「記録」が優先ならズームレンズ、「写真」をより楽しみたいなら単レンズを選ぶべき。単レンズで掴んだ感覚は、ズームレンズを使う時も役に立つ。
はじめはf/1.8から
初めての単レンズの解放f値はf/1.8~2.0くらいがお勧めです。
このクラスの単レンズは俗に「撒き餌レンズ」と呼びますが、大体どこのメーカーもレンズ沼の入り口(笑)としてコストパフォーマンスに優れた製品をラインアップしています。価格帯は2万~8万円程度(フルサイズ基準)
f/1.4クラスになると、いきなり値段が数倍跳ね上がりますし、おまけに大きくて重いので気楽に持ち出せるものではありません。
そりゃ、値段が高い方が性能もいいに決まっていますが、そこからはコストよりパフォーマンス重視の世界になりますので、初めての単レンズとして勧めるには少し微妙ですね。
兎にも角にも、いっぱい持ち出していっぱい撮るのが上達の近道ですので、最初の一本目は小さくて軽いレンズがオススメです。
そう、一本目ね。そのうちきっと「F1.4の世界」やら「オールドレンズの癖」やらが気になってしょうがなくなり、同じ焦点距離の単レンズが何本も勝手に増殖してきますから。(笑)
軽くて小さいの優先とは言っても、特別な目的がないならf/2.0以下がいいと思います。(コンパクトさ優先の安価なレンズはf値が大きい)
なんだかんだ言っても、単レンズに慣れるまでは色々大変ですから、パット見て「単レンズらしい描写(つまりボケ)」が分かる方が最初のモチベーション維持に役に立ちます。
お勧めの焦点距離
50mm
APS-C:33mm,MFT:25mmやはり1番のおすすめは王道の50mmです。 標準レンズと呼ばれるほど汎用性が高く、慣れれば「なんでも撮れる」のがこの50mmです。もし、私がレンズを1本だけ残すなら、迷わず50mmを選びます。
一つ注意して欲しいのが、「50mmは人間の目と似ている」とよく言われますが、それは遠近感の話であって、目に映る範囲 - つまり視野角を意味するものではないということです。
人間の目の視野角は120度前後とされていますから、そのままレンズの焦点距離に換算すると12mm位(122度)の超広角レンズになります。50mmの画角は47度なので、「人間の目の視野角」には全然及びません。
感覚に近いのは、あくまで50mmの遠近感です。50mmより広角になればなるほど遠近感は強まり、望遠になればなるほど遠近感は薄くなるので、それらで撮った写真は目で見た時の感覚とは違って見えます。
一見地味にも見えますが、だからこそ使えば使うほど奥が深く、飽きの来ない焦点距離が50mmです。
とにかく一本持っていて損することはないので、最初の一本目に強くお勧めします。
PROS
- 自然な画になるので、特に日常スナップやポートレートとの相性がいい
- 定番レンズである為、大体どこのメーカーも50mmの撒き餌レンズが一番安い
- そこそこボケが楽しめる
CONS
- ある程度の範囲を写すには、被写体との距離が必要なので、室内スナップやテーブルフォトには向いてない
- 見たままの景色=つまり、レンズの個性が薄いので、撮影者のセンスや器量が結果にそのまま表れる。
50mmにチャレンジして「画角が窮屈で扱い難い」と途中で諦める人も多いですが、そこが最初で最大の難関です。そこさえ乗り越えれば手慣れてきますので、何とか頑張ってください!
まずは、被写体から2,3歩離れて、被写体だけではなく「被写体が入っている風景」を観察すること。そして、その風景からどこを切り取ればいいかをイメージしてからシャッターを切ること。上手く行かないときは、この二つを試してみて欲しいです。
50mmだけの話ではありませんが、とにかく被写体に近づいて大きく写そうとするか、あれこれ欲張って全部をフレームに入れようとすると、なかなか上手く収まらなくなります。
まとめ:迷ったら50mm!とにかく50mm!50mmを制する者、写真を制する!(笑)
Photofolio: 50mm レンズの作例
35mm
APS-C:23mm,MFT:17.5mm
広角の入り口と呼ばれる35mmですが、遠近感はまだ自然に見えるし、広角レンズの癖も薄いです。準標準レンズとも呼ばれるほど50mmと並んで汎用性が高く、人気も高い。
50mmとどちらを選べばいいかは、撮りたい被写体との距離で決めた方が簡単です。
室内ポートレート、小さい子供や家族、友達とのスナップ写真など、被写体が2,3m以内に存在することが多いなら、35mmの方が使い勝手がいいです。
被写体周辺の情報も自然にフレームに入りますので、日常スナップには打って付けです。また、テーブルフォトが撮りやすいのでインスタ映えにも役に立ちます(笑)
50mmほどの気難さはないので初めのハードルは割と低いですが、全部を写すには狭く、何かを目立たせるには広いという中途半端なところもあるので、結果的にトータルの難易度は変わらない気もします。
まぁ、ここは35mmも50mmも買っておけば問題なしってことで!😉
PROS
- 被写体と比較的近い距離から使えて、その場の雰囲気が伝わる背景情報がフレームに入るので、さり気なく自然な雰囲気の日常スナップには丁度いい
- 広角ではあるが自然な遠近感で、広角レンズ特有の癖は薄いので扱いやすい
- テーブルフォトや物取りにも使える。最近のものはめちゃめちゃ寄れるので、工夫次第でボケも楽しめる
CONS
- 他の焦点距離に比べて、35mmは値段がやや高い
- 被写体までの距離が一定以上になると、構図を組むのが50mmより難しくなる
- 手にもって自撮りするには画角が狭い
50mmほどではないですが、35mmも「切り取る」を意識しないと窮屈に感じたり、つまらない写真の量産になったりします。
迷ったときは、主人公の被写体にぐっと近づいて、背景の情報量を減らしてみてください。なんなら被写体の一番見せたいところだけを切り取るのもいいと思います。それから、少しずつ離れながら背景の情報を増やしていくのです。繰り返しているうちに、あなたが一番グッとくる被写体との距離が見つかるとおもいます。
まとめ:さり気なく自然な感じの日常スナップ写真と言えば35mm!小さい子供との思い出を残したいパパママカメラマンならとにかく35mmがお勧め!
Photofolio: 35mm レンズの作例
28mm
APS-C:18mm,MFT:14mm
iPhoneをはじめ、殆どのスマホのカメラは30mm前後のレンズが使われていますので、この画角には手慣れている人も多いでしょう。
何かを注視しているというよりは、ありのままを切り取った雰囲気の画角で、複雑なこと考えずにサッと構えてパッと撮れるのが28mmの魅力です。
広角レンズですが、歪みや遠近感の強調などはまだそこまで強くないので扱いやすい。
35mmほどメジャーな焦点距離ではありませんが、ストリートスナップやドキュメンタリー風の写真が好きの中にはファンが多いです。
一つ問題があるとしたら、スマホの画角に似ているので、スマホでいいや!と思うか、カメラに拘るかってところでしょうか。まぁ言い方を変えれば、扱いやすい画角であるからスマホのカメラに採用されているわけで、画質や操作性はカメラの方がずっと上ですから意味はあると思いますけどね。
PROS
- 複雑に考えずに目の前の風景をスナップするには使い勝手がいい
- 3~4人以上の集合写真や室内、テーブルフォトにも使いやすい
- カメラの画素数に余裕があるなら、後からトリミングして好きなところだけ切り取ることが出来る
CONS
- ボケはあまり期待できない。俗にいう「一眼で撮った写真」を撮るには向いていない
- 広角レンズ特有の遠近感の歪曲がはっきり見え始める焦点距離なので、ポートレート等には少し工夫が必要
お勧めの使い方は、とにかくどこにでも持ち出して、いいなーとなったら複雑に考えずにシャッターを切ることです。気楽に、楽しくね!
広角レンズ全般に言えることですが、出来るだけ被写体に寄った方が撮りやすいです。被写体との距離が遠ければ遠いほど構図の難易度が上がっていきますので。
まとめ:大事なのはフィーリングです!リズムに乗ってシャッターを押してください!!笑
Photofolio: 28mm レンズの作例
85mm
APS-C:56mm,MFT:42.5mm
最後は、ポートレートの王道85mmです。丁度いい距離から、丁度いい範囲を、丁度いいボケ具合で写せるので、割と簡単に奇麗な写真が撮れたりします。
日常的に使うにはこれより短い方が使いやすいですが、「とにかく作品っぽい写真が撮りたい」なら85mmもいい選択です。
つまり、これ一本でなんでもというレンズではなく、ここぞというところで一発決めるための必殺技的な存在。子供や彼女を奇麗に撮って喜んでもらいたいなら、黙って85mmを選びましょう(笑)
望遠になればなるほど、画の中に余計なものが少なくなるしボケ量も増えるので、一発の破壊力は上がりますが、その一発のワンパターンしか撮れなくなりやすいので初心者が扱うにはハードルが高いです。
85mmは少し気合を入れればギリギリ日常の中でも使える画角で、大人の全身ショットを撮るときも会話できる距離から撮れます(135mmとかだと叫ぶ必要がある)
PROS
- 大体どこのメーカーも50mmの次に値段が安く、描写性能が高い
- レンズの歪みが少なく、ボケ量もそこそこあるので人が奇麗に映る。上半身の縦向きなら楽勝!
- 室内で使うには少し長いが、切り取りを意識すれば使えなくもない
- 丁度いい距離間で、背景簡単に処理できるので、屋外ポートレートはもちろん、スタジオでモデルを撮影するときも使い勝手がいい
CONS
- 日常的に使うにはやはり長い
- 写真がワンパターン化しやすい
正直、85mmは汎用性が劣るので、これ一本で勝負するよりは、他のレンズと合わせて持ち出すことをお勧めします。
ポートレートレンズとも呼ばれるほど人物写真には相性抜群なので、人物を撮ることが多いならお勧めです。
まとめ:ポートレートなら85mm!相手をぎゃふんと言わせたいなら85mm!
Photofolio: 85mm レンズの作例
いかがでしたか?
初めての単レンズ選びに少しでもお役に立てればと、自分なりには頑張って書いてみましたが...多分、そこまでピント来ないですよね?すみません😂
結局、自分に合うレンズは、自分にしかわからないのです。
自分の手で、自分のスタイルで使ってみないと分からない。例えば、結婚は一度してしまうと取り消しがなかなか大変ですが、レンズは気に入らなかったら売り飛ばして他のレンズの足しにすればいい。...自分で書いといてあれですが、これだからレンズ沼の住民はヤバい(笑)
何事も、まずは始めることが大事ですよね。たとえそれが失敗だったとしても、次の方向を決める時に役に立つ。
お勧めしたレンズがあなたに合うかどうかは分かりませんが、新しい発見のきっかけになることは間違いないと思います。結構楽しいですよ!ぜひ、その楽しさを味わってほしいです。
では、レンズ沼のでお待ちしております。(笑)